私は、子供のころまで大人しい性格で、自己主張が苦手でした。頭の中では色々考えていても、それを押し通すようなタイプではありませんでした。
ところが、そんな私が、英語を話せるようになりたい!海外の人とつながっていきたい!と、海外留学に挑戦。若かったので、それほど深く考えずに、何とかなるだろうという楽観的な気持ちで、オーストラリア留学を決めました。
そしてその夢は叶いました。
夢は叶ったものの、現地到着初日から試練が始まりました。
英語のはずなのに、何を言われているのか全く分からない。
イタリア人の方が多い地域だから、もしかしてこれはイタリア語?
しばらくは、面倒見の良いホストファミリーに支えられ、まともな会話はできないけど、辞書を片手に、ジェスチャーを交え何とか生活を始めました。
その家は、リビング・キッチン・寝室などと、トイレ・お風呂が別棟になっている家でした。(トイレとお風呂のために、いったん外に出ないといけない。)
その家にある匂い、生活音、周りの空気、今までみたことがなかった広大な庭などなど、まずは新しい環境に慣れていきました。その家では、外の廊下や庭を歩くのは全て裸足。裸足で外を歩いたことがなかった私には衝撃。
そんな中、ステイ開始から1週間ほどしたある日のこと。事件が起こりました。
私は、トイレに行こうと、リビングから別棟に向かって外にでました。そこで飼い犬に遭遇し、まだあまり慣れていない犬なのでこちらが少し怖がっていると、突然犬が手に嚙みついてきました。
痛い!
血が出ていました。
一瞬パニックととなり、慌ててトイレに駆け込み、ドアを閉めました。
まずは、洗面で水を流し指を上に挙げて。。。その時のことはほぼ記憶がないですが、とにかく、まず逃げ込んで安全確保をしました。
でも・・・
外には犬がいるから怖くて出られない。
家にはホストマザーしかいないが、気づいてくれるか。
どうやって助けを呼べばいいかわからない。(スマホなどない時代)
どうすることもできず、ただ、じっとしているしかない。
助けて!が言えない。
どれくらいだったでしょうか。どんどんと周りが薄暗くなり、肌寒くなってくるのを感じました。なんせ裸足です。雨が降り気温が下がっているのを感じていました。
その頃、心配したホストマザーが私のことを探し歩いてくれていて、トイレにたどり着いてくれました。
何とかここにいることを知らせないといけない!と、小さな小さな声で、Help! Dog! と、絞り出すように言いました。
それに気づいてくれたホストマザーが、すぐに犬をチェーンでつないでくれました。
もう出てきても大丈夫だよ。
この言葉を聞いて、ようやくトイレから出られました。どれだけの時間トイレにいたのでしょうか。
時計もせず、辞書も持たず(もともとトイレに行くだけでしたから・・・)
その後、けがをしているところを見せて、処置してもらいました。傷はそれほど深くなく、その後治癒しました。
このエピソードで、私に足りなかったことは、行動する勇気でした。
- たとえ、英語に自信がなくても、日本語で叫べばよかった
- 難しく考えずにHelp!の一言を発するだけでよかった
- 言葉が無理ならドアを叩きつづけてもよかった
- なんなら日本語でも雰囲気は伝わった
- 助けを待つ(他力本願)で、自分の力でで何とかしようという気概がなかった
この日を機に、私は常に辞書を持ち(笑)、とにかく何でもいいから、話してみるということをやるようになりました。
強烈なオーストラリアなまりの英語を全部聞き取るのは耳が慣れてくるまでとても大変でしたが、
日々繰り返し聞いていると何とかなっていきました。
結局は、行動する勇気と行動力、これをもって、繰り返し繰り返しやっていけば、いろんなことが変わっていくんですよね。
シャイなだけでは生きていけない、そう感じ、その後、必要な場面でしっかりと意思表示ができるようになっていきました。言葉はただのツール。完璧でなくていいい。人生の学びとなりました。